XX染色体を持つ個体(遺伝子型女性)には、精巣決定遺伝子がないために、自動的に生殖腺は卵巣となります(詳細は後日)。XY染色体を持つ個体(遺伝子型男性)には、精巣決定遺伝子によって、HY抗原が作られて生殖腺を睾丸に作り変えます。つまり、精巣決定遺伝子があるかないか、或いはそれが正常に機能しているかによって、生殖腺(睾丸か卵巣か)の性が決定付けられる。Y染色体を持たない個体、或いは精巣決定遺伝子が機能していない個体は、生殖腺が未熟なまま自動的に卵巣になり、Y染色体を持つ個体は睾丸となる。
ここで重要なことは、HY抗原レセプター遺伝子は、男女共々に持っているということ。
つまり、妊娠した母体内にあるXX染色体を持つ胎児に、このHY抗原を投与すれば、XX染色体ながらも睾丸を持つ、本来の性ではない男の子に性転換できることを意味しています。もしどうしても男の子が欲しかったら、このHY抗原をずっと投与していれば遺伝子型はともかく、表現型の男子をもうけることができることを示唆しています。
さて、睾丸となった生殖腺はやがて男性ホルモン(テストステロンなど)を分泌するようになり、卵巣となった生殖腺は女性ホルモン(エストラジオールなど)を分泌します。
X染色体にはもう一つ、Tfm遺伝子というものが存在します。
Tfm遺伝子は、男性ホルモンに感応するテストステロン受容体を、細胞内に作り出すものです。
これが機能しなければ、いくら睾丸から男性ホルモンが分泌されても、その受容体がないわけですから、男性へと発生することが不可能になるわけで、睾丸を持ちながらも子宮や膣などを持った女性に変身してしまいます。(詳細は後日)
つまりこのTfm遺伝子の機能を阻害する薬剤などを、胎児期に投与すれば……。XY染色体を持つ個体を女性へと性転換が可能です。
さてさてこれらの性転換は、胎児期のごく早期に行われなければ効果がなくなってしまいます。
もう一つ面白いことをお話しましょう。
睾丸や卵巣が出来たとしましょう。
しかし、その中はその時点では精子や卵子になる元は、そこには存在しません。
では、どこにあるのでしょうか?
精子や卵子になる元となる細胞を、原始生殖細胞といいます。
実はこいつ……。
睾丸や卵巣ができるまでは、体内をあっちふらふら、こっちふらふらとアメーバーのごとく遊びまわっているのです。こいつは、精子になるか卵子になるか自分で決める能力を持っていません。
やがて生殖腺が睾丸なり卵巣となると、この原始生殖細胞を誘引する物質が分泌されて、誘蛾灯に群がる蛾のように、こいつが生殖腺に舞い戻ってきます。
そして生殖腺が、睾丸だったら精子原細胞に、卵巣だったら卵子原細胞に確定されるわけです。
確定されると、睾丸の精子原細胞は休眠に入ります。一方の卵子原細胞は猛烈に細胞分裂して、一生涯に使うだけの分の未熟な卵子を生産して、これも休眠に入ります。
さて、性転換ができるプロセスが存在することが理解できましたか?
すべて胎児にある時のごく初期に限りですが……。
続きます。
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