特務刑事レディー
事件ファイル 1「銀行襲撃事件」
(2)朝のひととき
某所、警視庁官舎独身寮のとある一室。
乱雑に散らかった部屋の中ほどに布団が敷かれ一人の男が寝ている。
その枕元に近づく人物がいた。
気配に目を覚ます男。
まず男の視線に写ったのは、ストッキングを履いたすらりと細い足首だった。
視線を上へと移動する男。
足先から膝、そしてタイトスカートへと写る。
そのタイトスカートから覗くショーツはまぶしく艶かしい。
「今日は白か……」
ぼそりと呟く男。
その声に少し苛立っている風の声が返ってくる。
「白か……じゃないでしょ! やっぱり、まだ寝ていたのね」
その声の主は、言いながら枕元にひざまずく。
タイトスカートに合わせたきっちりとしたスーツを着込み、ロングヘアーをポニー
テール風にまとめ、薄化粧とはいえ丁寧に施されたその表情は、素敵なほどに美人を
物語っていた。
「あ、ああ……。なんだ、真樹か……」
ゆっくりと起き上がって、真樹と呼んだ相手に向き直る。
真樹と呼ばれた女性は、枕もとの携帯電話を手に取りながら、
「また、携帯電話の充電忘れていたのね。バッテリーがなくなってるじゃない」
と、指し示した。
「え、あ。そうみたいだな」
「もう……しようがないわね」
言いながら充電器にセットする真樹。
「すまん」
「敬、とにかく、早く着替えてよ。呼び出しなんだから」
「ん……そうか。わかった」
敬と呼ばれ、パジャマを脱いでいく男。
その間に、箪笥から敬の着替えを取り出し始める真樹、そして素っ裸になった敬の
前に差し出す。
「もう朝食食べてる時間ないけど、コンビニでパンと牛乳買っておいたわ」
「そうか、すまないね」
「いいから早く着替えて」
言いながら着替えを手伝う真樹。
やがて身支度を終えた敬が、真樹の顔を見ながら呟くように言う。
「こういう時は男は気楽でいい。化粧する必要がないからな」
「な、何を言っているのよ」
少し恥らうように顔を赤らめる真樹。
「なんでもない。さあて、行くとするか」
「顔ぐらい、洗いなさいよ」
「へいへい。化粧していないから、ざぶざぶと、洗いましょう」
「もう、あたしを怒らせるつもり?」
「いや、今日も綺麗だよと言いたかっただけさ」
「はやくしなさい!」
そんなこんなで漫才のような会話をしながらも、仲の良い感じを見せる二人だった。
つづく
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- 2005-10-24
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