美奈の生活 for adlut episode-1
掃除洗濯を終え、一通りの主婦の仕事を片付けてリビングでくつろぐ加奈子。
ふと思う。
「本当だったら、学校のたいくつな授業を受けていたのよね……。いつも、早く六時限目が終わって帰りの時間にならないかと思っていた」
専業主婦としての生活。
ふと、自分の境遇を考え直してみる。
もし、当初の予定通りに母親の生殖器を移植しただけの性転換手術していたらどうなっていただろうか?
当然として、自分自身は美奈として学校へ行かなければならないはずである。
母親の代わりに掃除洗濯などの家事の一切を引き受けなければならない上に、義務教育としての勉強も怠りなく務める。
とてもじゃないが、身体が二つ欲しくなる。
もしかしたら、今の生活の方が楽なのではないだろうか?
俊介との夜の生活は、妻としての義務があり避けることはできないが、これまで円満に続いていたのだから、何も心配することはないみたいである。
それを拒めば、離婚訴訟問題に発展することは理、今の中学生にでも理解できることである。
しかし昼間においては、子供のいなくなった加奈子にとっては、三食昼寝つきの安泰生活が保障されている。
勉強する必要がない。
これはあまり勉強が好きではなかった美奈にとっては大いにありがたいことであった。
第一何よりも加奈子は、慶応義塾大学を優秀な成績で卒業している。
今更中学校へ通う必要などない。
「あはは……。何だ、なにも悲観することなどないじゃない」
考えがまとまると気が楽になった。
これからは専業主婦としての生活をエンジョイできるということなのだ。
「さてと、一通りの家事は済んだし……。どこかに出かけようかな。デパートへ行って、ウィンドウショッピングなんかがいいかしら」
婦人服売り場やランジェリーショップなんかを見て回ってみたくなった。
これから自分が着る服の品定めをするのもいいんじゃないか。
デパートへ行く時は、加奈子は自動車に乗っていた。
加奈子は運転免許を持っていた。
自分は加奈子のすべてを受け継いだのである。
当然、自分が運転して良いはずだった。
「でも、あたし自身は運転したことないんだもの……」
いわゆるペーパードライバーということになる。
自動車で行くことはあきらめるしかないだろう。
「今度の日曜日にでも、パパに教えてもらおう」
とりあえず今日は自転車で行くことにする。
そうとなれば着替えである。
部屋でいる時と、お出かけ用に着る服は、別々のものを着るのが女性のたしなみである。
早速、寝室へ行ってドレッサーを開く。
ワンピース、ツーピーススーツ、大人の女性向の衣装がずらりと並んでいた。
その中から、加奈子が外出用によく着ていたワンピースを取り出した。
「おっと、その前に下着が先だったわ」
すぐそばにあるチェストに下着類は入っている。
開けてびっくり玉手箱だった。
それこそ男を惑わす魅惑的なセクシーランジェリーが盛り沢山だったのである。

スリーインワン、ガーターベルト&ストッキングなどの悩殺下着はもちろんのこと、夜の営み用の透け透けのネグリジェ……。
ランジェリー選びには、自分の好みだけでなく、夫の好みも考慮にいれる必要があるようだ。
下の段を開いてみると、ごく普通のランジェリーが並んでいた。
「なんだ、昼用と夜用にちゃんと分けて整理してあるんだ」
なるほどと思った。
日常的に加奈子が着替えるのはこの寝室と決まっている。
夫婦共用だから当然夫の俊介の視線にさらされる時もある。
引き出しを開けたときに、それらのランジェリーが夫の目にも止まることになる。
魅惑的なランジェリーは夫の性欲を昂ぶらせ、スムーズにベッドインできるというわけである。
良く考えている。
「これ全部、これからはあたしのものになったんだよね」
ともかく上の段の夜用は今は必要がないものである。
下の段の昼用から選ぶことにする。
とはいえ、昼用も意外とデンジャラスなものがあったりする。

「きゃあ! これ紐パンじゃない。こんな小さなものが入るのかしら」
手にとってかざして見る。
「美奈だった時には、絶対に履けなかったわよね」
当然であろう。
美奈は女性ホルモンのおかげで小さくなったとはいえ、それなりのものが股間にちゃんとぶら下がっていたのである。
だからショーツのほとんどが深履きのものと決まっていた。
こんなものを履いたら、はみ出してしまうのが関の山である。
早速、その紐パンを履いてみることにした。
一人の子供を産んだことのあるヒップは、それなりの大きさをしていたから心配だったが、紐パンの形は小さくても良く伸びる素材でできているので、すんなりと履くことができた。
それは吸い付くように股間を覆っている。
美奈だったら、いわゆる『もっこり』状態で見られるものではなかったと思う。
「やっぱり……。正真正銘の女性になったんだ」
認識を新たにする加奈子であった。
つづく
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