【急転直下】





【ご主人様、なんなりと】いけないメイドのお仕置き
【お嬢様の退屈な夜遊び】とあるお嬢様女子校の性生活
【痴漢電車】犯される婦人警官
とかなんとか……。
そんなこんなで、コスチュームプレイ用の衣装が増えていった。
まあ、神林家の経済状態はある程度裕福と言えたので、生活に困窮するということはなかったのだが……。
夜の生活には何ら問題はなかったのであるが、昼間の日常生活において大きな問題があった。
夫婦の子供である美奈の存在についてである。
主婦である加奈子にとって、近所付き合いは日常生活の一部であるが、
「加奈子さん。最近、美奈ちゃんを見かけないけど、どうなさったのですか?」
という現実問題を突きつけられていたのである。
その夜、帰宅した俊介に近所付き合いについて相談を持ちかける加奈子であった。
「それで、美奈は学校のクラブ活動で合宿に入っていると、つい嘘をついてしまったんですけど……。いつまでも隠し切れませんわ」
俊介もそのことには気に掛けていた。
夜の生活の方があまりにも楽しかったので、意識の片隅に追いやっていたのである。
しかし二人にとって、美奈のことは避けられない重大なる問題となってきたのである。
近隣の人々たちは、神林の事情を知るすべもないし、これから先もずっと美奈が姿を見せないとなると、いらぬ想像をかき立てる結果となるはずである。
例えば、不良少女となって家に寄り付かなくなった、とか。
援助交際で相手方の家に寝泊りしている、とか。
巷で問題になっている家庭内暴力&虐待の犠牲になって、それを隠しているのだ、とか。
「気にはなっていたんだが……。そろそろ美奈のことを決着させる時が来たのかもしれない」
「どうなさるおつもりですか?」
「例えば、交通事故をでっちあげて死んだことにして葬式をあげるとか」
途端に身体を震わせて怒りだす加奈子。
「やめてくださいよ。美奈はわたし自身だったんですよ。殺してしまうなんて可哀想ですよ」
「だからでっちあげなんだよ」
「いやです! せめて養女に出したとかにしてください」
いかに過去の自分自身とはいえ、世の中から抹殺してしまうことには、拒絶反応しきりの加奈子であった。
そもそもこういう問題が生じる結果となったのは、脳死状態となった加奈子に美奈の脳を移植したことに起因する。
交通事故の知らせを受けて、臓器移植の話が持ち上がったときに、加奈子の意思のまままに臓器移植の方を選択すれば何ら問題は起きなかったのである。
脳死による臓器移植として、加奈子には正式な死亡手続きが行われて丁重に葬られるはずだった。
それを静香にそそのかされて、静香が手配した救急車で加奈子を別の病院へ移送して、そこの病院の執刀で脳移植がなされて今日に至る。
「とにかく……」
と、一言呟き、呼吸を整えるようにして言葉をつなぐ俊介。
「美奈のことは早急に解決しないといけないな」
「はい……」
すべては俊介によって引き起こされたこと。
被害者ともいえる加奈子にとっては、すべて俊介に任せるしかなかった。
悲観していた二人の耳に、玄関のチャイムの音が聞こえた。
応対に出るために立ち上がって玄関に向かう加奈子。
玄関の扉を開けて来訪者を確認する加奈子。
しかし……。
加奈子はその人物の姿を見て声を失ったのである。
その人物は、明るい声ではっきりと言った。
「ただいま、ママ!」
それはまさしく美奈に生き写しの姿をしていたのである。
いや、正真正銘の美奈自身のようであった。
つづく
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