とある夫婦がいた。
ところがささいな事で喧嘩となり、はずみで夫は妻を殺してしまう。
そして密かに妻の遺体を処分してしまった。
そんなある日、ふと妻の残した衣類に心ときめくのを覚えるのだった。
かつて自分をその気にさせるために買ったと思われる魅惑的なランジェリー。
謝恩会などに出席するための、素敵に豪華なイブニングドレス。
そんな妻の衣類を見つめていた時、ふと魔が差したというべきだろう。
その妻の衣類を着てみるのだった。鏡に女装した自分の姿を映しながら、
結構似合っていると思う男。それを機会に家にいる時は、いつも女装するようになる。
最初の頃は、ただ女装するだけだったが、妻の衣装を着て、
料理・洗濯・掃除をしながら、かつての妻の仕草を真似たりしながら、
亡き妻を演じるようになり、こころの中に新たな性が具現化しはじめていた。
やがて意外なことが判明した。妻の持ち物を改めて調べていたら、結構遺産を相続していたのだった。
しかし、これを自分のものにするには、妻が生きていなければならない。
そうだ。交通事故を装って、夫である自分を死んだように見せかけ、自分が妻に成り代わってしまえばいいんだ。
自分と同じ歳くらいの浮浪者を、うまく誑かして酒で泥酔させて自動車の運転席に乗せて崖から転落させて、
夫である自分の身代わりになってもらおう。
とにかく妻が死んだことを誰にも悟られないようにしながら、妻としての自分を作り上げよう。
今までは家の中で女装していただけであるが、これからは女性の姿格好で外出もしなければならない。
妻が生きていることを実証しなければならない。
幸い自分は妻にそっくりだ。かつらを被り化粧を施せば何とかなるはずだ。
その日から妻に成り代わるための特訓がはじまった。
妻の買っていた化粧品を使って、暇さえあれば化粧の勉強。女性らしい身のこなしと仕草練習。
女性らしい声を出すための特訓。
そうこうするうちに、すっかり女装の虜となっていく。
通信販売で、ランジェリーやかつら、化粧品と女装に必要なものを買い求める。
一大決心して、夜の街を女装して歩くことも実行した。
さらに、女性ホルモンを服用することも始めた。
女性ホルモンで少しずつ胸が膨らんでいく状況に心ときめく。
それはやがて、女性として暮らしていきたいと思うようになる。
新しいアパートに引越しをして、妻の名を使って女性として暮らしはじめる。
会社も辞めて、ゲイバーで働くようになり、球抜きの手術もした。
ゲイバーの客と恋に堕ち、性転換をも考えるようになる。
さて、その行き着く先は?
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